さいごはおうちで(北山)
2021年 08月 13日
今日は「ねこマンガ 在宅医たんぽぽ先生物語 さいごはおうちで」という本を紹介しようと思います。愛媛県で在宅医療専門のたんぽぽクリニックで診療されている永井康徳先生のお話です。最近は家で最期を迎えることがなかなか難しくなっていますが、実際に先生が担当された患者さん達のお話をもとに、在宅医療とはどういうものか、もし在宅医療を受ける場合どうすればいいのかが漫画や優しい文章でわかりやすく書かれています。
最初のページに「生まれることと、死ぬことは 自然な人の営みです。できれば住み慣れた場所で最期まで自分らしく安心して生きていきたいですね。」とい言葉が書かれているのですが、最初にこの文章を読んだ時は納得できるようなできないような…という気持ちで読み始めました。マンガの中の主役は勿論患者さんですが、家で介護をする家族の方の気持ちもとても丁寧に書かれていて、私は最初はやはり家族の方の立場に感情移入して読みました。どのお話も最期を迎える物語だから、やっぱり切ない部分はあるのですが、どのお話も悲しいとか寂しいだけではなくて穏やかな気持ちで読み終えることができます。また、「枯れるように逝くこと」について考えたり、「最期まで口から食べること」の大切さに納得したり、「在宅での看取りの質を高めるために大切なこと」というのも紹介されていて、鍼灸師の立場でも意識していきたいことが沢山書かれていました。
私の年齢ではまだ自分が在宅で医療を受けたり、家で最期を迎えるイメージをすることは正直難しいですが今生きている以上誰でもいつかは死ぬんですよね。自分のこともそうですが、大切な人をもし看取る立場になった時、それは多分すごく辛いことではあるけどこういう医療を受けられたらきっと穏やかな気持ちでその時を迎えられるかもしれないなと思いました。
本を読み終えた後でもう一度最初のページの文章を読むと同じ文章なのに全然違うように感じます。「死ぬこと」に向き合うことで真剣に「どう生きるか」考える。日常をただ過ごしていたら難しいけど、今なんともなく生きてる自分の命というか時間をもっと大切にしていきたいなーとか考えだすと、めちゃくちゃ穏やかな文章にも思えたりしてきます。テーマは少し重たいですが、登場人物がみんな可愛らしい猫さんなので、とても読みやすいです。機会があれば是非読んでみてください。
ちなみにたんぽぽクリニックを運営されている医療法人の名前が「ゆうの森」なんです😊何だか少し親近感を持ちながら読みました。
by yu-no-mori
| 2021-08-13 07:00
| 本
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