おすすめ本 自転しながら公転する（中平）

今年２冊目のおすすめ本です先月のブログでおすすめ本を紹介したところなので、またおすすめは早すぎるかなぁと思ったのですが、読後の余韻が良く心にずっと沁みているので、紹介させて頂く事にしました

自転しながら公転する　山本文緒　著　新潮文庫

３２才の都は更年期障害の母をサポートするため仕事を辞めて茨城の実家にもどり、地元のアウトレットモールの服屋で契約社員として働きます。そしてモール内の回転寿司屋で働く寛一と出会い、付き合い始めます。寛一は優しく一緒にいて楽しいが、中卒で経済的に不安定。仕事、家族、将来…ぐるぐる悩む都に次々と問題が起こりそして…

よくありそうな（特に小説では）設定なのですが、それぞれの心の機微がていねいに描かれていて、自分の気持ちや考えと何度も重なりました。特に主人公の都は自分勝手で都合がいい子だなぁと当初感じて共感が持てなかったのですが、読み進めていくと私と同じ思考を持っている面もあって、都と一緒の気落ちで問題をどう乗り越えていくか考えてしまいました。

みんな毎日ぐるぐる自転しながら公転して生きている。今日も頑張ろう！と力を貰える小説でした

作者の山本文緒さんは2021年にお亡くなりになり、もう新たな山本作品が読めないと思うと、とてもとても残念で読む終わるのが悲しくもありました